「プロンプト」は一般にAIへ送る依頼を指します。決まった文句を使えば必ずよい回答になる、という説明もありますが、実際には必要なことを伝え、関連情報を渡し、出力を確認することが大切です。
単純な仕事なら短い依頼で十分です。長文でも目的が抜けていたり、無関係な仕事が混ざっていたりすればうまくいきません。プロンプトは、自分の考えを知らない相手への業務引き継ぎだと考えてみましょう。
1. 目的を伝える
何を達成したいか、その結果をどこで使うかを伝えます。「製品について書いて」では目的が分かりません。「変更点と案内の場所を既存顧客に知らせるメールの下書きを作って」なら具体的です。
目的が明確なら、詳しさや構成、語調を選びやすくなります。目的自体が曖昧なら、作成前に質問するよう依頼しましょう。
2. 必要な背景を伝える
背景には、読者、状況、成功基準、確定済みの決定、推測してほしくないことが含まれます。すべてを説明するのではなく、回答を変える情報を選びます。
告知文を依頼するなら、読者がすでに知っていること、何が変わるのか、適用日が確定しているかを伝えます。未定ならそう書き、AIに補わせないようにします。
3. 資料と出典を指定する
特定の文書だけを使わせたい場合は、どれを基準にするかを明記します。複数資料が食い違う場合の扱いも指定します。外部情報を加えてほしくないなら、その点を伝えます。
例:「添付した議事録だけを使うこと。担当者が明記されていない場合は『記載なし』とし、推測しないこと。」このように、後から確認できる境界を作れます。
4. 制約を決める
長さ、範囲、語調、含めてはいけないデータ、許可しない操作などを指定します。「作り話をしないで」は意図としては正しくても、単独では確認しにくい表現です。「数値を作らず、不足情報には[要確認]と記す」のように具体化できます。
重要な制約は作業前に伝えます。条件が複数ある場合は、一つの長い文に押し込むより箇条書きにします。
5. 出力の形を説明する
表に必要な列、メモの構成、分類数、対象読者を指定すると、修正を減らせます。見栄えより、実際の用途に合う形式を選びましょう。
「フィードバックを分析して」ではなく、「テーマ、代表的な意見、確信度、確認が必要な質問の表を作る。引用は短くし、頻度を推測しない」と依頼できます。
6. 基準を説明しにくいときは例を示す
例は、必要な詳しさや形式、語調を示すのに役立ちます。大切な違いであれば、望む例と避けたい例の両方を出します。
例があらゆる状況に適用できるとは限りません。内容ではなく文体の例なのか、区別を明確にしましょう。
要素を組み合わせる
メモを要約する場合、次のように依頼できます。
目的: 製品チームが次の対応を決めるための概要を作る。
背景: 三回のインタビュー記録であり、すべての顧客を代表するものではない。
資料: 添付ファイルだけを使う。
制約: 例から頻度を推測せず、矛盾を示す。
出力: 三つの課題グループ。それぞれに引用、分かっていること、未解決の質問を付ける。
初稿の後は、「一つ目のグループは維持し、三つ目は別の判断につながるので二つに分けて」と具体的に返します。依頼全体を書き直すより効果的です。
観察した誤りに合わせて直す
長すぎる場合は分量を指定するか、判断に関係する内容を優先させます。推測があれば、出典のある情報と不明点を分けさせます。語調が合わなければ短い例を示し、どこを参考にするか伝えます。
条件を増やせばよいとは限りません。それぞれの条件を具体的な必要やリスクに結び付けましょう。複雑な仕事では、先に理解内容と前提を要約させる方法があります。簡単な仕事では余計な手順になることもあります。
AIに先に質問してもらうべきとき
重要な判断が抜けているなら、作成前に必要な情報を列挙させます。解釈によって結果が変わる場合に役立ちます。
リスクの低い仕事なら、前提を示したうえで下書きさせるほうが速いこともあります。どちらの場合も、自信のある口調は正しく理解した証拠ではありません。
要点: 魔法の言い回しはありません。目的、背景、出典、制約、求める出力を示し、結果は評価が必要な草案として扱いましょう。
まとめ
よいプロンプトは、明確な業務引き継ぎです。必要な詳しさは複雑さとリスクによって変わります。条件や影響が大きいほど、出典、前提、権限、確認基準を具体的にします。
実際の仕事から始め、観察した誤りをもとに依頼を直します。適切な場面で試してからテンプレートとして保存しましょう。